相続発生後に行う所得税の準確定申告とは?

準確定申告

所得税の確定申告が必要な被相続人が亡くなったときに、被相続人の代わりに相続人や包括受遺者が確定申告を行う必要があります。その確定申告のことを準確定申告といいます。相続人が申告を行うので、複数の相続人がいる場合などは手続きが品雑になります。今回は、被相続人の所得税申告である準確定申告について解説します。

目次

準確定申告が必要な人、申告期限、納税期限 

準確定申告は、亡くなった人の全員が申告しなければいけないわけではありません。申告が必要な人と必要ではない人とがいます。準確定申告の対象となる人は、決められた申告期限までに所得税の申告と納税を済ませなければいけません。

準確定申告が必要な人

準確定申告が必要な人は、①事業所得や不動産所得のある人②給与所得がある人(ただし、給与収入が2000万円を超える場合や給与所得のほかに不動産所得など他の所得がある場合、二か所以上から給与所得を得ている場合などが該当します)③公的年金にかかる雑所得が400万円を超える人、など、一定の条件に当てはまる人です。

申告期限

申告期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内です。例えば、10月1日に亡くなった場合は、2月1日が申告期限となります。

前年度の分の確定申告をする前に亡くなった場合(1月1日から3月15日までの間)は、前年度の分と今年度の分の両方の申告が必要となります。

その場合は、前年度の分の申告期限は通常の申告期限である3月15日ではなく、準確定申告の期限である「相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内」となります。

例えば、2月1日に亡くなった場合は、前年度の分と今年度(1月1日から亡くなる2月1日までの分)の申告期限は6月1日までとなります。

納税期限

納税期限も申告期限と同じで、相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内となりますので注意が必要です。また、納税期限を過ぎると延滞税が加算されますので、早めの準備が推奨されます。

準確定申告の手続きと必要書類 

準確定申告の手続きは、亡くなった被相続人の代わりに相続人が行います。なお、この場合の相続人とは、包括受遺者を含みます※

ただし、相続放棄をした人は申告の義務から免除されます。

※包括受遺者とは、遺言により被相続人から全部または一定の割合の財産を受け取った人のことを言います

相続人が二人以上いる場合

相続人や包括受遺者が二人以上いる場合は、代表相続人を1名決めて、その相続人が代表で手続きをすることができます。または、相続人それぞれが個別に申告をすることも可能です。ただし、申告した内容を他の相続人や包括受遺者へ通知する義務が生じます。

必要書類

準確定申告に必要な書類は以下の通りです。

・確定申告書

・死亡した者の〇年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表(兼相続人の代表者指定届出書)※相続人が複数人いる場合に必要

・給与所得、年金の源泉徴収票

・医療費控除の領収証(医療費控除の際に必要)

・委任状(還付金が発生する場合に、還付金の受け取りを相続人の代表者に指定するために必要)

・マイナンバーカードの写し

・マイナンバーカードを持っていない人は、通知カードかマイナンバーの記載のある住民票の写し+所定の身元確認書類の写し

となります。

準確定申告に使用する申告書は、通常の確定申告をするときに使用する申告書と同じものを使用します。

そして、申告書には、申告書Aと申告書Bの2種類があります。

申告書Aは、給与所得がある場合、総合課税の配当所得がある場合、年金などの雑所得がある場合などが使用する申告書です。

申告書Bは、所得の種類にかかわらず使用することのできる申告書です。個人事業主などが使用します。

なお、準確定申告の場合、申告書の第一表の題名部分の「申告書」の前に「準確定」という文字を、申告書の第二表の題名部分には、「準」という文字を書き加えます。

住所や氏名などは被相続人のものを記入します。氏名には、被相続人○○、と記入します。

提出する税務署

被相続人が住んでいた住所を管轄している税務署が提出先となります。相続人が住んでいる住所を管轄する税務署ではないので注意が必要です。

e-Taxによる電子申告

令和2年1月6日以降に提出される、令和2年分以後の準確定申告書については、e-Taxによる電子申告が可能です。ただし、相続人が複数人いる場合に、相続人の各人がe-Taxにより電子申告することはできません。その場合は、手続きを行う代表者を決めて、その代表者がe-Taxによる電子申告をすることになります。

なお、委任状は電子で添付することができないため、別途提出することになります。

準確定申告が不要なケース 

公的年金の収入が400万円以下であり、かつ公的年金の全てが源泉徴収の対象になる場合で、公的年金にかかる雑所得以外の所得金額が20万円以下であるときには、準確定申告の必要はありません。

また、給与の収入だけで2000万円以下の場合には、準確定申告の必要がありません。

準確定申告の注意点

医療費控除、社会保険料などの保険料控除については、被相続人が亡くなる日までに被相続人が支払いを行ったものについて対象となります。ただし、被相続人と生計を同一にしていた人が、被相続人の医療費の支払いを行ったものについても控除の対象となります。

配偶者控除や扶養控除などが適用になるかどうかの判断については、被相続人が死亡した日時点での状況で判断します。

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