贈与税の申告【暦年課税、相続時精算課税】の手続き

親族などから贈与を受けた場合に、贈与税の申告が必要な場合があります。特に、相続時精算課税制度を選択して贈与を受けた場合には、毎年申告が必要となります。なお、申告期限や納税期限を過ぎてしまった場合などにはペナルティが科されるので、早めの準備をすることが重要です。今回は、贈与税申告の手続きについて解説します。

目次

贈与税申告の手続き 

贈与税の申告は、その事例によって申告手続きが異なります。

贈与税の課税制度には二種類あります。一つは、通常の課税方式である暦年課税制度、もう一つは、60歳以上の父母または祖父母から、20歳以上の子または孫への贈与などの一定の条件に当てはまる人が利用することができる相続時精算課税制度です。

どちらの課税制度を適用するかで申告の手続きの方法が異なります。また、住宅取得等資金の非課税制度を適用する場合は同時に申告が必要です。以下では、それぞれの課税制度による申告手続き方法を解説していきます。

暦年課税制度を適用する場合の申告手続き

暦年課税制度を適用する場合の申告手続きですが、贈与を受けた全ての人が申告しなければいけないわけではありません。暦年課税制度では、1月1日から12月31日までの一年間に受けた贈与財産の合計額が、基礎控除額である110万円を超えた場合にのみ申告と納税が必要となります。

相続時精算課税制度を適用する場合の申告手続き

相続時精算課税制度を適用する場合の申告手続きは、受けた贈与の金額や贈与のあるなしにかかわらず、毎年必ず申告が必要となります。相続時精算課税制度を選択した場合には暦年課税制度には戻ることができません。

なお、どちらの申告手続きも、国税庁ホームページを利用しての申告手続きが可能です。その場合は、e-Taxによりデータを送信するか、印刷をして税務署に郵送するなどもできます。

提出する税務署は、贈与を受けた人の住所を所轄している税務署となります。

申告期限と納税期限 

贈与税の申告期限と納税期限は、贈与を受けた時の翌年の2月1日から3月15日までです。申告だけではなく、納税もこの期限までに終える必要があるので注意が必要です。

なお、暦年課税制度と相続時精算課税制度ともに同じ期限です。

申告期限を過ぎると、加算税というペナルティがあります。期限内に申告をしなかった場合には無申告加算税が加算されます。また、財産を隠すなど故意の場合には、税率の高い重加算税が加算されます。

また、申告した金額が実際の贈与税の金額よりも少なかった場合には、過少申告加算税が加算されます。

納税期限を過ぎると、納税期限の翌日から納税するまでの日数によって延滞税が課されます。

外国に出国する人の申告期限と納税期限

贈与を受けた人が贈与税の申告をしなければいけない場合に、申告期限の前に外国に出国する場合には、外国に出国する日までが申告期限と納税期限となるので注意が必要です。

贈与を受けた人が亡くなった場合

贈与を受けて贈与税の申告をする予定だった人が亡くなった場合は、その人の相続人が申告と納税をする人となります。

贈与税申告の必要書類

贈与税の申告に必要な書類はそれぞれの課税制度によって違います。

暦年課税制度を適用する場合の必要書類

暦年課税制度を適用する場合の申告書は、申告書第一表(贈与税の申告書)を使用します。申告書には、特例贈与財産分と一般財産分を分けて記入します。

特例贈与財産とは、父母から子、祖父母から孫などのように、直系尊属から直系卑属に対して行われる贈与のうち、子や孫などがその贈与を受けたときに20歳以上の場合の贈与財産のことをいいます。特例贈与財産には特例税率が適用されます。

一般贈与財産とは、特例贈与財産に該当する贈与以外の贈与(夫婦間や兄弟間の贈与、父母や祖父母からの贈与のうち、子や孫が20歳未満の場合の贈与など)のことをいいます。一般贈与財産には一般税率が適用されます。

基礎控除以外に控除するもの(配偶者控除の特例など)があれば記入します。

暦年課税制度を選択した場合に住宅取得等資金の非課税制度を適用する場合は、申告書第一表の二(住宅取得等資金の非課税の計算明細書)に記入し、申告書第一表とともに提出します。

相続時精算課税制度を適用する場合の必要書類

相続時精算課税制度を適用する場合の申告書は、申告書第一表の他に、申告書第二表(相続時清算課税の計算明細書)の提出が必要です。

また、相続時精算課税制度を適用する場合の最初の年度のみ、相続時精算課税選択届出書の提出が必要となります。届け出の際に必要な添付書類として、贈与を受ける人の氏名と生年月日、そして贈与を受ける人が贈与をする人の直系卑属であるかどうかを証明する戸籍謄本または抄本が必要です。

相続時精算課税制度を選択した場合に、住宅取得等資金の非課税制度を適用する場合は、相続時精算課税制度の特例が適用される場合があります。その場合には、申告書第一表の二に記入し、申告書第一表、申告書第二表とともに提出します。

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