事業承継のための青色申告承認申請書の提出とは

青色申告承認申請書

相続により、被相続人が行っていた事業を相続人が承継することがあります。その際、相続人が青色申告制度を新たに利用したい場合には、青色申告承認申請書の届出が必要になります。届出期限は、被相続人が死亡した日や、被相続人が青色申告制度を利用していたかどうかで異なります。今回は、青色申告承認申請書について解説します。

目次

事業承継のための青色申告承認申請書とは 

事業を行っていた被相続人が亡くなり、相続人がその事業を承継した場合に、相続人が確定申告をする際に青色申告制度を選択したい場合には、青色申告承認申請書による青色申告承認の申請が必要になります。

被相続人が生前に青色申告制度を利用していた場合でも、相続による事業の承継によって青色申告の承認までは承継されないため、事業を承継した相続人が新たに青色申告承認の申請をすることになります。

ちなみに、青色申告制度を選択することができるのは、不動産所得がある人、事業所得がある人、山林所得のある人、となります。

なお、事業を承継する相続人が、相続の開始前よりもともと事業を行っており、すでに青色申告制度を利用して青色申告を行っていた場合には、青色申告承認申請書の提出は不要です。

準確定申告における青色申告申請書 

被相続人が亡くなったことにより、被相続人に代わってその相続人が確定申告をすることを準確定申告と言います。準確定申告は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内に、申告と納税の両方を行わなければいけません。

相続により相続人が被相続人の行っていた事業を承継する場合で、青色申告制度を利用したい場合には、準確定申告の他に青色申告の承認申請を行う必要があります。

その場合、被相続人が死亡した時期によっては、準確定申告の期限よりも青色申告の承認申請の提出期限のほうが短くなることがあるので注意が必要です。

相続人による青色申告承認届出書 

通常、青色申告承認申請書を提出する場合の期限については、青色申告の承認を受けようとする年の3月15日までの提出が求められています。相続人が、相続が開始される前よりすでに事業を行っていた場合には、3月15日までに青色申告承認届出書を提出することによって、相続が開始された年から青色申告をすることが可能です。

相続人が、相続が開始される前には事業をまだ行っていなかった場合に、その相続人が青色申告承認申請書を提出する場合には、通常の青色申告の場合とは異なる設定がされています。

被相続人の事業を承継する場合には、被相続人が白色申告制度を利用していたか、青色申告制度を利用していたかによって、相続人による青色申告承認申請書の提出期限が異なります。また、被相続人が青色申告制度を利用していた場合は、被相続人が亡くなった日によって期限が異なります。

その年の1月16日以後に、新たに事業を開始した場合

業務を開始したから2ヶ月以内に提出をすれば、相続をした年から青色申告をすることができます。

被相続人が白色申告をしていた場合で、その年の1月16日以後に業務を承継(相続が開始した日)した場合

業務を承継した日から2ヶ月以内に提出をすれば、相続をした年から青色申告をすることができます。

その年の1月16日より前に事業を承継した場合は、3月15日までに提出が必要となります。

被相続人が青色申告をしていた事業を承継した場合で、死亡した日がその年の1月1日から8月31日までの場合

亡くなった日(相続が開始した日)から、4ヶ月以内に提出をすれば、相続をした年から青色申告をすることができます。

被相続人が青色申告をしていた事業を承継した場合で、死亡した日がその年の9月1日から10月31日までの場合

その年の12月31日までに提出をすれば、相続をした年から青色申告をすることができます。

被相続人が青色申告をしていた事業を承継した場合で、死亡した日がその年の11月1日から12月31日までの場合

翌年の2月15日までに提出をすれば、相続をした年から青色申告をすることができます。

相続で事業承継した場合に提出すべき書類は何か 

相続人が青色申告制度を利用する場合の青色申告承認申請書の他に、被相続人が死亡したことによる事業の承継に伴う以下の届出も必要です。

所得税の青色申告の取りやめ手続

青色申告の承認を受けていた被相続人が、死亡したことにより青色申告書による申告を取りやめる手続きが「所得税の青色申告の取りやめ手続」です。

提出期限は、青色申告を取りやめようとする年の翌年3月15日までです。

給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出

相続による事業の承継により、給与の支払をしている事務所を移転し引き続き従業員を雇用する場合、もしくは新たに開設した場合に必要な届出です。

提出期限は、事務所の移転があった日または新たな開設があった日から1ケ月以内です。

個人事業の開業届出・廃業届出等手続

相続により新たに事業を開始した時に必要な届出です。

提出期限は、被相続人が死亡した日から1ケ月以内です。

青色事業専従者給与に関する届出手続

被相続人が死亡する前より青色事業専従者だった人に対して、事業を継承したあとも引き続いて青色事業専従者として給与を支払い、その給与を必要経費として算入したい場合に必要な手続です。

提出期限は、必要経費に算入しようとする年の3月15日までです。ただし、その年の1月16日以後に開業した場合や新たな専従者が発生した場合は、その日から2ヶ月以内となります。

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