準確定申告で相続発生日までの所得税も申告が必要

被相続人が死亡した際、被相続人の所得で確定申告しなければならない所得があった場合に、相続人や包括受遺者となった人が代わりに確定申告する必要があります。そのような申告のことを準確定申告といいます。準確定申告に必要な書類や書き方や、被相続人が個人事業主だった場合など、相続人がすべき手続きの流れを詳しく解説します。

目次

死亡時の準確定申告の書き方 

被相続人が死亡した場合の準確定申告の書き方や必要書類、提出期限などについて以下で解説します。

準確定申告で使用する申告書

準確定申告に使用する申告書は、通常の確定申告をするときに使用する申告書と同じものを使用します。

申告書には、申告書Aと申告書Bの2種類があります。

申告書Aは、給与所得がある場合(ただし、給与収入が2000万円を超える場合や給与所得のほかに不動産所得など他の所得がある場合、二か所以上から給与所得を得ている場合などが該当します)、総合課税の配当所得、年金などの雑所得がある人などが使用する申告書です。

申告書Bは、所得の種類にかかわらず使用することのできる申告書です。

なお、準確定申告の場合、申告書の題名部分の「確定申告書」の前に「準」という文字を書き加えます。

準確定申告の場合にのみ必要な書類

準確定申告の場合には、「死亡した者の〇年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表(兼相続人の代表者指定届出書)」が必要になります。

記入する項目は

1 死亡した者の住所・氏名等
2 死亡した者の納める税金又は還付される税金
3 相続人等の代表者の指定(相続人が複数人いる場合は代表者を指定します)
4 限定承認の有無
5 相続人に関する事項
6 納める税金等
7 還付される税金の受取場所

となります。そして、この付表を申告書とともに提出します。なお、相続人が複数人いる場合に、申告の手続きを行う代表の相続人を指定する場合には、委任状も必要となります。委任状には、相続人それぞれの住所、氏名、そして押印が必要です。

なお、相続放棄をした人は申告の義務がなくなります。

所得控除について

医療費控除、社会保険料などの保険料控除については、被相続人が亡くなる日までに被相続人が支払いを行ったものについてが対象となります。

配偶者控除や扶養控除などが適用になるかどうかの判断については、被相続人が死亡した日時点での状況で判断します。

1月1日から3月15日の間に死亡した場合

1月1日から3月15日までの期間に死亡した場合で、前年度分の確定申告がまだ済んでいない状態で死亡した場合については、前年度の分と本年度の分の2回分の準確定申告が必要になります。

提出期限

準確定申告の提出期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から「4か月以内」となっています。期限を過ぎてしまった場合には、延滞税や加算税が課されることとなるので早めの準備が必要です。

提出する税務署

被相続人が住んでいた住所を管轄している税務署が提出先となります。

e-Taxによる電子申告

令和2年1月6日以降に提出される、令和2年分以後の準確定申告書については、e-Taxによる電子申告が可能です。なお、相続人が複数人いる場合には、準確定申告の確認書や委任状が必要となります。

個人事業主の死亡時の確定申告

個人事業主が死亡した場合は、所得の金額によっては準確定申告が必要です。申告書のほかに、青色申告決算書や収支内訳書が必要になります。

なお、死亡した個人事業主が青色申告の承認をされており、確定申告の際に青色申告制度を利用していた場合には、所得の金額を問わず必ず準確定申告が必要になりますので注意が必要です。

個人事業主の廃業のための届出書とは 

被相続人が個人事業主であった場合は、廃業の届け出が必要となります。廃業の届け出は、「個人事業の開業・廃業等届出書」により行います。また、確定申告の際に青色申告制度を利用していた場合には「所得税の青色申告の取りやめ届出書」の提出が必要となります。提出期限は、取りやめようとする年の翌年の3月15日までとなります。

個人事業主の開業のための届出書とは 

個人事業主であった被相続人が行っていた事業を相続により相続人が継承する場合は、新たに開業の届け出が必要となります。開業の届け出も廃業の場合と同様に、「個人事業の開業・廃業等届出書」により行います。

被相続人が白色申告者であった場合に、事業を継承した相続人は青色申告制度を利用したい場合には(その年の1月16日以後に継承した場合)、青色申告承認申請書を所轄の税務署に提出します。提出期限は、事業を継承した日から二カ月以内となります。

被相続人が青色申告者であった場合は、被相続人が死亡した日によって青色申告承認申請書の提出期限が違います。死亡した日がその年の1月1日から8月31日の場合は死亡の日から4カ月以内、死亡した日がその年の9月1日から10月31日の場合はその年の12月31日まで、死亡した日がその年の11月1日から12月31日の場合はその翌年の2月15日までとなります。

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