相続税の申告期限と納税期限はいつか?

相続税申告

相続税の申告期限と納税期限は亡くなったことを知った日の翌日から10カ月と決められています。期限内であれば申告と納税が別々の日でも問題ありません。申告書の提出前に納税を済ますこともできます。また金銭で一括での納税が難しい場合には、一定の要件を満たした場合に限り分割払いや物納も認められています。そこで相続税申告期限と納税について解説します。

目次

相続税の申告期限はいつまでか

相続税の申告期限は、「被相続人がなくなったことを知った日(相続の開始があったことを知った日)の翌日から10カ月以内」と決まっています。人は突然亡くなるため、個人の確定申告や法人の決算申告のように型にはまった申告期限があるわけではありません。

「亡くなったことを知った日」とは

まずここで気になるのが「なくなったことを知った日」という時点です。この翌月から10カ月以内に相続税の申告を完了させます。一般的には葬儀や告別式の案内が届くため、それをもとに判断できます。つまり起点となる日の認識を誤ると期限内申告ができないという事態になります。

同じ被相続人でも申告期限が異なる場合

非常に稀なケースですが、同じ被相続人の相続であっても申告期限が異なるケースがあります。例えば被相続人Aが亡くなったのがX年10月8日、その子BがAの亡くなったことを知ったのが翌日9日、もう一人の子Cが知ったのが同年11月1日という場合です。この場合、Bの申告期限は10日から10か月以内となり、Cは11月2日から10か月以内と約1か月の申告期限に差が生じます。

異なる申告期限で生じる問題点

申告期限が異なる場合、どのような問題点が生じるのでしょうか。例えば農地が相続財産に含まれる場合、農地にかかる納税の特例猶予が適用できなくなります。しかし、相続税の申告は相続人全員が一緒に提出しますから早く到来する申告期限に合わせて申告するのが一般的です。いずれにしてもあまりないケースなので、もしこういったことが発生した場合には専門家に相談するのがよいでしょう。

相続税の納税期限はいつまでか

相続税の納税期限は申告期限と同じです。相続税の申告書だけが申告期限までに提出されていても、同時に納税が申告期限までになされていなければ延滞税がかかります。

相続税の「延滞税」とは

延滞税をわかりやすく表現すると「利息のようなもの」です。延滞税の計算は、申告期限(すなわち納期限)を起点とし一定の率を乗じて日数であん分計算します。納期限を守ることは言うまでもありませんが、もし遅れてしまった場合には速やかに納税します。

異なる申告期限の場合は要注意

先にも紹介したように、申告期限が異なるケースがあります。その場合、納期限も異なります。「一緒に納付」と考えていると、先に納期限が到来している相続人に対して延滞税が課せられますので要注意です。

相続税の申告期限までに申告できないときの対応

すべての相続人が申告期限内に申告できるとは限りません。遺産分割協議がうまく進まないケースがあります。遺産分割には期限がないため、相続税の申告期限と矛盾を感じるかもしれません。しかし、これを理由に申告しないという選択肢はありません。延滞税や無申告加算税が課せられます。このようなことが発生した場合、どうすればよいのでしょうか。

遺産分割協議が進まない

遺産分割協議が進まない理由はいろいろあります。連絡がつかない相続人がいたり、協議そのものが難航していたりする場合です。どのような場合であっても申告期限内に申告する方法があります。それは「民法」の活用です。民法には法定相続分の規定があります。いったんこの規定に従って遺産分割を行い10カ月の申告期限内に申告を済ませます。

相続税の申告後に遺産分割に変更があった場合

民法の法定相続分によりいったん相続税の申告を行った後、遺産分割協議が進み、当初の申告内容と異なる場合があります。この場合は再度申告できます。このようなケースが考えられる場合には、事前に専門家に相談することで最適な対処法のアドバイスが受けられます。

相続税の納税期限までに納税できなかったときの対応

納期限までに納税できない場合には、延滞税が課せられます。しかし納税資金の確保ができないために納税できない可能性があると事前にわかっている場合、分割払いや物納を選択が選択できます。

相続税の分割払いとは

次の要件に当てはまる場合に、分割払いが認められています。

①相続税額が10万円以上
②金銭での納付が困難である理由がある
③上記②の範囲内での金額である
④延滞税、利子税相当額の担保がある
⑤延納申請書に担保提供関係書類を税務署長に提出している

ただし、②の金銭での納付が困難な場合は「物納」という方法があります。

相続税の物納とは

金銭での納税が難しい場合に、不動産や株式等で納税する方法です。当然ですが、不動産は担保設定がされている場合や、非上場株式で譲渡制限が設けられているものは物納の対象となりません。そのほか、相続時精算課税や非上場株式の納税猶予を受けている財産の物納はできません。物納可能な財産の規定は国税庁で決められていますので、事前に確認しておくことをおすすめします。

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