暦年課税と相続時精算課税!贈与税の時効とは?正しい贈与の方法を解説!

贈与税

家族に財産を贈与した場合に、その贈与した財産に贈与税が課税される場合があります。しかし、贈与の方法によっては、贈与税がかからないように贈与できる方法があります。また、せっかく贈与したのに、贈与とは認められないケースがありますので、大切な人に贈与をする前に詳しく知っておきたいところです。今回は、贈与税とは何かということを解説します。

贈与税のかからない財産の渡し方は? 

通常、贈与を受けた財産には贈与税がかかりますが、贈与税のかからない贈与の方法もあります。親子間や夫婦間、兄弟姉妹との間で、生活に必要な費用や、教育に必要な費用にあてるための財産を贈与した場合には、贈与税はかかりません

ただし、生活に必要な費用として贈与を受けたものを、生活に必要な費用以外のものに使った場合、受け取ったお金を貯めておいた場合、受け取ったお金で投資信託を購入した場合など、生活費という贈与の目的とは別の用途に使用した場合には、贈与税がかかります。

また、お年玉、お中元、香典、花輪代など、お祝いやお見舞いのための金品なども贈与税の対象外となります。

一定の条件がありますが、直系尊属(父母や祖父母)などからの贈与で、①教育資金②結婚や子育て資金③住宅を取得するための資金、そして、夫婦の間での居住用不動産の贈与(おしどり贈与)にも非課税の適用があります。

贈与税の非課税枠と税率・計算方法

贈与税がかからない非課税枠と税率・計算方法について、贈与税の方式に沿って説明します。

暦年贈与方式

一般的な贈与税の課税方式です。まず、基礎控除額である110万円以下の贈与には、贈与税はかかりません。

1年間に贈与を受けた財産の合計額から基礎控除額である110万円を引いた残りの額(課税価格)に対して、一般税率か特例税率のどちらかの税率を適用し、さらに控除額を引いた額が、贈与税の額となります。

一般税率は、父母や祖父母以外の贈与者から贈与をうけた場合や、受贈者(贈与をうけたもの)の年齢が20歳未満である場合に適用されます。

特例税率は、父母や祖父母から贈与をうけた場合、かつ、受贈者の年齢が20歳以上の場合に適用されます。

岸田会計士

2021年2月現在、自民党において暦年課税制度を廃止しようとする動きがありますので、これが廃止されていないかご確認ください。

相続時精算課税方式

一定の要件に当てはまる場合は、相続時精算課税方式を選択することができます。

一定の要件とは、贈与の年の1月1日時点にて①贈与者(父母や祖父母など)については60歳以上であること②受贈者については、20歳以上で、かつ、贈与者の直系卑属(子供や孫)である推定相続人および孫であることです。

相続時精算課税を選択すると、特別控除額である2500万円までは、贈与税が非課税となります。ただし、前年までに特別控除額を使っている場合は、2500万円からすでに使っている額を引いた残りの額が特別控除額となります。

贈与を受けた財産が2500万円を超えた場合は、超えた部分に対して一律20%の税率が適用されます。

なお、相続時精算課税を選択した場合は、その選択にかかる贈与者からの贈与については暦年課税へ変更することはできません。

また、贈与を受けた財産の額が110万円以下であっても贈与税の申告をする必要があります。

贈与者が亡くなり相続になった際には、相続時精算課税が適用された財産については、相続税の対象となる財産に加算されます。

贈与税申告の手続きと期限および添付書類

贈与税の申告期間は、財産の贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日です。

申告書は、受贈者の住所地の所轄税務署に提出します。郵送による提出のほか、e-Tax(電子申告)にて送信をする方法もあります。

申告をする際には、マイナンバーが必要になります。また、本人確認書類の提示または写しの添付が必要です。マイナンバーカードを持っている場合はマイナンバーカード(写し)、マイナンバーカードを持っていない場合は、マイナンバーを確認できる書類+身元確認書類(写し)が必要です。

なお、マイナンバーカードを利用してe-Taxで送信する場合には本人確認書類は必要ありません。

贈与税の時効はいつ?

贈与税の時効は6年(偽りその他不正な行為の場合は7年)です。時効の起算日は、贈与税の申告期限である3月15日の翌日の3月16日です。

申告が漏れてしまった時のペナルティとしては、①無申告加算税(申告することを忘れていた場合)②過少申告加算税(申告はしたが申告した額が過少だった場合)③重加算税(贈与税を払いたくないからという理由で申告しなかった場合)④延滞税があります。

税務調査が入る前に自主的に申告をした場合は、加算される税金が少なくなりますので、申告漏れに気が付いた時にはすぐに申告するのがよいでしょう。

現金手渡しすると贈与税はどうなる?

現金を直接手渡しするタイプの贈与は、証拠が残らないために、贈与とみなされず相続税の対象となってしまいます。贈与をしたという証拠を残すためには、贈与のたびに贈与契約書を作成するとよいでしょう。

手渡しでの贈与にこだわらないのであれば、手渡しにするのではなく、銀行振り込みによる贈与にするという方法もあります。

また、110万円を超える贈与をして、贈与税の申告と納付をすることにより、贈与をしたことの証拠とする方法もあります。ただし、確実に贈与と認められるとは限らないので、贈与契約書のコピーを添付するとよいでしょう。

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