建物に課される相続はいくらか?貸家の相続税評価は?

空き家譲渡

建物を相続した場合にも相続税が課税されます。その相続税の計算の際に必要なのが、建物の相続税評価額です。そして、建物の評価額は、その建物の形式、建物の状態、建物に付随しているもの、貸している建物の場合、などにより計算方法はさまざまです。今回は、相続税の計算をするときに必要な建物の評価について詳しく解説します。

目次

建物の相続税評価額と計算方法

建物の相続税評価額を計算するときには、主に固定資産税評価額を使って計算します。また、建築中の建物や建物に付随しているものなどは、独自の計算方法を使って計算します。

固定資産税評価額は、毎年4月から6月(自治体によって異なります)に市町村から送付される固定資産税課税明細書に記載されている固定資産税評価額(価額または評価額の欄※)を使います。※発行元の自治体により名称が違います。

建物の相続税評価をする際の計算式は、固定資産税評価額×1.0倍、です。そのため、固定資産税評価額がそのまま相続税評価額になります。

建築中の建物の場合

建築中に被相続人が亡くなった場合は、建築中の建物であっても相続税評価の対象となります。その際の計算式は、費用現価の額×70%となります。

費用現価の額とは、被相続人が亡くなるまでにかかった建築の費用(材料費や施工費)を、課税時期※の価額に直した額のことをいいます。

※課税時期とは、相続や遺贈の場合は被相続人が亡くなった日、贈与の場合は贈与により財産を取得した日のことです

建物に付属している設備などの場合

まず、建物に直接付属している設備(電気、ガス、給排水設備など)は、建物の評価の際に、固定資産税評価額の中に含まれているので、評価は不要です。

外構設備(塀、門扉、花壇など)の相続税評価をする際の計算式は、(再建築価額-建築の時から課税時期までの償却費の額の合計額または減価の額)×70%となります。

庭園設備(東屋、庭石、庭木、庭池など)の計算式は、相続開始時の調達価額×70%となります。

マンションの建物の評価額は

マンションの建物の評価も、建物の相続税評価と同様で、基本的に固定資産税評価額×1.0倍となります。ただし、マンションの場合は、価額または評価額の欄※に記載されている額ではなく、課税評価額欄※に記載されている額が相続税評価額となります。なぜならマンションの場合は、固定資産税課税明細書の価額または評価額の欄※には、そのマンション全体の建物の評価額が記載されているからです。※発行元の自治体により名称が違います

建物の固定資産税評価証明書について

固定資産税評価証明書とは、固定資産課税台帳に記載されている建物や土地の証明書です。

固定資産の評価額は、固定資産評価基準(総理大臣が定めています)に基づいて決定されています。

そして、固定資産税評価額は、通常3年ごとに見直しが行われています。

なお、建物は経年劣化があるため、評価額は下がっていきます。

固定資産税評価証明書は、相続税申告の際や相続登記(相続による不動産の名義変更)をする際などに必要になる書類です。相続登記をする際には添付書類として、また、登録免許税を計算するために必要となります。

固定資産税評価証明書は、申請手数料300円前後※で取得することが可能です。※発行元の自治体によって違います

リフォームした建物の相続税評価

リフォームした建物の相続税評価は、相続が発生した時期や、リフォームした時期によって違います。

リフォームした直後に相続が発生した場合は、リフォームに要した費用を評価額に加えて計算することになります。

計算式は、リフォーム前の固定資産税評価額+(リフォーム費用-亡くなった日までの償却費)×70%となります。

亡くなった日までの償却費の計算式は、リフォーム費用×90%×経過年数(1年未満端数切り上げ)÷耐用年数※となります。

※「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」によります

なお、増築した際には登記が必要です。

貸家の相続税評価

被相続人が貸していた貸家の場合の相続税評価は、一軒家と集合住宅の場合で計算方法が異なります。一軒家の場合は、固定資産税評価額×(1-借家権割合)で計算します。集合住宅(アパートやマンション)の場合は、固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合※)で計算します。

※賃貸割合とは、当該家屋の各独立した部分の床面積の合計のうち、課税時期において賃貸されている各独立した部分の床面積の合計を、当該家屋の各独立した部分の床面積の合計で除して得た割合のことをいいます。

借家権割合は、日本全国で同じ割合(通常は30%、地域によっては40%)を使用します。

なお、被相続人が亡くなった当時に空き室だった場合は、借家権割合である30%を引くことができません(一時的に空き室だった場合などは、引くことができる可能性があります)。

貸家の場合、人に貸している建物であり、自由に処分ができないなどの理由から、相続税評価は持ち家建物の相続税評価に比べて低くなります。

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