不動産の売却にオークションを利用するケースが増えています。通常の不動産仲介との違いや、オークションのメリットやデメリットを解説します。また、販売前に行う査定についてどんな場合に査定評価が上がるのか、査定価格の計算方法についても解説します。
不動産の査定価格の計算方法は
家屋や土地など不動産売却時に必ず行うのが、不動産業者による査定です。査定は、住宅取得からの経過年数や建物の状況で評価が変わります。では、標準的な不動産の査定価格はどのように算出されているのでしょうか。
査定価格とは
査定価格とは、不動産業者が売却活動する場合に、概ね3か月以内に購入者が決まる見込みの価格となります。不動産査定には通常、机上査定と実査定があります。
机上査定は、周辺の標準的な相場や成約事例と査定する物件を比較して査定価格を算出します。これを取引事例比較法といいますが、不動産の査定では一般的に用いられる手法です。
一方、実査定は、実際の家屋や土地の確認をし、査定価格を決める手法です。これは机上査定金額を基に、現況確認を行い実査定価格確定させます。
査定価格でプラス評価になるポイント
査定価格でプラス評価になるポイントが幾つかあります。例えばマンションの場合は、主要路線の駅近・南向き・日当たり良好・眺望が良い・角部屋・大手不動産会社分譲・大手ゼネコン施工など、これらの要素があるとプラス査定になります。
また、建物全体や周辺環境だと、エントランスやゴミ置き場など共用部が綺麗・人気のマンション・子育て世帯に人気の学区内などの要素もプラス査定になります。一戸建ての場合は、駅距離・角地・南面道路接道・整形地・綺麗な街並みなどの場合、プラス査定です。
つまり、その住戸や立地であれば住みたいと思う潜在的な需要が見込める不動産は、プラス査定になるのです。
不動産の査定価格の計算方法は
不動産の査定価格は、取引事例比較法を用いるのが一般的です。例えば、査定物件と、直近で4,000万円の成約となったAマンションとを比較します。査定には評価項目が幾つかあります。駅距離、取得からの年数・向き、階数、眺望、部屋位置(角部屋か中部屋か)などです。
査定物件がAマンションより優れていればプラス、劣っていればマイナスという評価をし、最終的に査定価格を決めます。
仮に評価が変わらない場合、査定価格は4,000万円、査定物件の方が優れていれば査定価格が4,000万円を超えることになるのです。
不動産売却に必要な費用と仲介手数料は
ここでは、家屋や土地売却時に掛かる費用と仲介手数料について解説します。
不動産売却時に必要な費用は
不動産売却時に一番大きく負担させられる費用は、宅建業者に対する仲介手数料です。それ以外に、契約時に印紙代、ローンがあれば一括繰り上げ返済の費用や、抵当権の抹消費用が掛かります。
加えて、一戸建ての場合は、土地の測量代や家屋解体の場合は解体費用が掛かります。
他にも、ハウスクリーニング代や粗大ごみの回収費用も必要になる場合もあります。
仲介手数料とは
仲介手数料とは、不動産取引成立時に宅建業者(不動産会社)に支払う手数料です。
仲介手数料は、400万円超の成約価格の場合に、成約価格×3%+6万円+消費税となります。つまり、4,000万円での成約の場合、1,386,000円の仲介手数料が発生します。なお、仲介手数料は上限のため、不動産会社により仲介手数料が軽減されている場合もあります。
不動産売却の流れ・進め方
ここでは、家屋や土地の売却する場合の進め方を紹介します。不動産売却でポイントになるのは不動産会社選び、良心的な担当者に出会えるか、です。
不動産を売却する前に
売却前に重要なのは、どこの不動産会社に依頼するかです。正直、ここで今後の運命が決まると言っても過言ではありません。ただ不動産会社は星の数ほどあるので、どこに依頼をして良いか悩みます。そこで利用したいのが一括査定サイトです。
不動産会社を選ぶ
一括査定サイトを利用すると、大手から中小まで複数社から査定結果が届きます。査定価格は会社毎にばらつきがあるので、平均値を一旦の査定価格と認識してよいでしょう。
ここで大事なのは、著しく高い査定価格を付けている不動産会社は選ばない事です。不動産会社の中には、物件が欲しいがために高めの査定で気を引くものの、実際の売り出しでは売却出来ず、結局価格を下げて販売する事例もあるので注意です。
不動産会社は平均値に近い2~3社を選択し、来店予約を取得します。店舗に行くことで不動産会社の雰囲気、担当者の雰囲気、物件を売却するストーリーなどを理論的に語れるか、など信頼できる不動産会社であるかがわかります。
査定をする
不動産会社が決まれば、実査定をします。担当者が自宅を訪問し、図面ではわからない日当たり・建物の状況・内装の傷み具合を確認します。査定結果は、2.3日後に不動産会社から報告があります。
売り出しをする
査定金額を基に、売出し価格を依頼者と担当者で話し合い、決定します。この時に重要なのは、売却する期間がどの位あるかです。長期的に売り出しができる場合は、査定価格より高めに設定し高値売却チャレンジもできます。
逆に早期に現金化したいなど急いでいる場合は、査定価格より下げて売り出しをします。その後購入検討者が来た場合は、内見の立会いです。購入者が決まるまで内見は続きます。
契約、引き渡しに向けて準備する
購入者が決まれば、不動産売買契約をします。契約時には、購入者と対面し手続きを進めます。この時に、仲介手数料の一部を仲介会社に払います。
その後は、引っ越し業者・クリーニング業者の手配、電気ガス水道の休止手続き、など引き渡しに向けて準備します。他、住宅ローンがある場合は、金融機関に出向き、繰り上げ返済の手続きを済ませておきます。
引き渡しをする
最終決済を行い、鍵の引き渡しを行います。一般的に引き渡しは、購入者が住宅ローンを利用する金融機関の応接室で行い、不動産会社の担当者と司法書士立会いの下、依頼主と購入者が手続きを行います。依頼主に住宅ローンがある場合は、司法書士がこのあと抵当権の抹消手続きをします。またこの時に仲介手数料の残額部分を支払います。
確定申告をする
譲渡益が出た場合は、確定申告時に一定の税率にもとづき税金を納めます。また3,000万円の特別控除を使う場合も同様です。なお、譲渡益とは取得価格から仲介手数料などの必要経費を差し引いたものです。確定申告は、不動産売却をした翌年の2月16日~3月15日(例年)に行います。
オークションによる不動産売却
ここからは、不動産オークションについて解説します。オークションは人気物件であれば、高値追及できるとあって最近徐々に取引件数が増えつつあるサービスです。
オークションと不動産仲介の違い
オークションと不動産仲介の違いは、買主の探し方と価格です。オークションは、Webサイト上に物件を出品し購入者を募り、一番高条件の価格を付けた人と商談を進めることができます。
不動産仲介はWebサイト上に物件を掲載するのみでなく、新聞折込みやチラシ投函などで購入者を募ります。また購入検討者から、値引き交渉が入る場合があります。つまり、オークションは好条件の買主を選べますが、不動産仲介は買主を選べません。売り手主導のオークションと買い手主導の不動産仲介の違いがあります。
オークションのメリット・デメリット
オークションのメリットは、高値追及がしやすいことです。人気物件で落札
希望者が多く募るようであれば、高値売却の可能性が高くなります。また、値引き交渉される心配もないので売り手としては安心です。期限通りに売却を進めることができます。
オークションは落札の期限が決まっており、その中から最高金額での落札者と取引を進めるので、不動産仲介のようにいつ売れるかわからない取引ではありません。したがって、転勤が決まっているなど売却期限がある人にはお勧めです。
オークションのデメリットは、どんな価格でも売却することです。つまり、想定していた価格より下回っても契約手続きを進めなければいけません。
また、入札者が一人も来ないこともあります。不動産仲介よりもオークション形式は、あまり制度として浸透していないので、そもそも知らない人も多いのです。
さらに、オークションで不動産を購入する文化があまりないので、総じてオークションで不動産を購入しようとする人は、まだまだ少ないのです。
オークションの種類と入札方式
不動産売却のオークションは、WEB上で行うインターネット形式と、入札場所で入札金額を記載する方法があります。
また、オークションの種類は、クローズドビッド方式(入札価格非公開)とオープンビッド方式(入札価格公開)があります。
クローズドビッド方式は、多数の業者へ一斉に物件情報を開示し、購入希望価格を提示させる方法で、主に企業間で行われる取引に用いられます。
オープンビッド方式は、入札期間中の価格が公開されるシステムで、主に個人間の取引に用いられます。なお、不動産オークション最大手ピタットハウスが運営する「マイホームオークション」では、最低入札価格が予め提示されます。入札を希望する場合は、入札日に指定場所で入札書を記載する方式となっています。
不動産売却をオークションで行うには
不動産売却をオークションで行うには、まずオークションする不動産会社に相談し、査定を受けます。
マイホームオークションでは、査定後に売却に向けての入札要綱や条件を詰め、最終的に査定額(最低価格)で良ければ専属専任媒介契約を結びます。
その後インターネット上に出品し、入札検討者の内見立会いをします。その後に店舗で行われる指定入札日に入札があれば、契約に進むことが出来ます。その後は、通常の不動産売買と手続きは変わりません