空き家の相続!売るための境界確定と測量を解説

境界確定測量

今回は境界確定と測量について解説します。はじめに、境界確定測量とはなにか?、またどんな場合に境界確定の測量が必要になるか?、など基礎的な部分を紹介します。その次は応用編として、境界確定のおおまかな流れについて、境界確定訴訟の特徴についての紹介です。

目次

境界確定の測量とは

土地付きの家屋を売却する場合に、正しい土地面積が必要です。住宅・土地の購入が、平成・令和など比較的最近の場合、おおむね土地面積は正しく登記されています。

しかし、住宅・土地の購入時期が昭和時代など、築年数が古い場合に隣接住宅との境界が確定していない場合があります。今回は、境界が確定していない場合に行う、境界確定の測量について解説します。

境界確定の測量とは何か?

境界確定の測量は、所有地の正しい広さを計ることが目的です。境界確定は、はじめに所有地の仮測量を行います。

その後、測量者と土地所有者が集まり境界確定の話し合いをします。無事に境界確定ができれば、確定測量を行い土地の正しい広さがわかります。境界確定後は、土地境界の目安として境界標を設置します。

測量が必要なのはどんな場合か?

測量が必要なのは、まず土地境界が決まっていない場合です。例えば代々続く土地や、取得時期が昭和時代の土地は、境界の目印になる境界標がない場合があります。そこに、土地境界が決まっていないままブロック塀などがある場合があり、このまま売買すると土地購入者が後々トラブルに巻き込まれる可能性もあります。

また、土地境界が決まっていないので所有地の面積は正確ではありません。

さらに、測量技術が発達していない時期の記録になるので、改めて測量するほうが、売却する側もその不動産取引に安心感があります。したがって売却前に正しい土地境界と広さを確認する必要があるのです。

次に、都市部に於いて土地評価が高い場合も、正しい広さが必要です。例えば固定資産税です。固定資産税は、土地の広さに評価額が掛けられ税額が算出されます。したがって土地の広さが違えば税金の金額が変わってきます。

境界確定測量の依頼先と費用は

では、境界確定測量に掛かる費用は、おおよそどのくらいになるのか?また、どこに依頼すればよいのか?この部分について解説します。

境界確定の相談は不動産会社へ

境界確定の相談は、最寄りの不動産会社にします。単に測量のみであれば測量士になります。

相続した土地を売却する場合は土地境界を確定し、不動産売買完了後に登記するので土地家屋調査士に依頼します。なお、個人が直接土地家屋調査士に依頼するケースは少なく、一般的には不動産会社を通して紹介してもらいます。

境界確定測量の費用はどのくらい?

まず一般的に現況測量の費用は、100㎡程度の整形地で15万円前後が相場です。その後の確定測量は、境界確定書面の作成・測量図面などを合わせると、70万円前後です。

なお、近隣と紛争中など、日数を要するような事案があると測量に手間が掛かるので、費用が余計に掛かります。境界確定の測量時は、事前に見積もりを取るのが無難で、売却時には測量に掛かる費用もあることを頭に入れておきます。

境界確定に係る訴訟とは

あまり聞き馴染みのない「境界確定に関する訴訟」について解説します。

境界確定に関する訴訟の特徴とは

土地境界の話し合いをしたが、折り合わない場合の手段として境界確定訴訟があります。

境界確定訴訟は、原告と被告の主張にとらわれず、裁判所が土地境界を確定します。また訴訟後は、境界に関する争いはできなくなるというのが特徴です。

しかし、境界確定訴訟は境界確定までに時間が掛かり、けっこうな訴訟費用の負担があります。

最近では、訴訟ではなく筆界特定制度を利用する場合もあります。そのメリットは、訴訟に比べて境界確定が早くでき、費用が軽減できることです。しかし、特定された筆界は法的に確定ではなく、訴訟により覆すこともできることがデメリットとなっています。

訴訟が起きるとどうなるか

境界確定の訴訟が起きると、双方の土地所有者は原告と被告の関係となります。なお、一般的な裁判での勝敗はありません。

また、当事者同士での決着はなく、仮に当事者間で和解できたとしても無効です。裁判所での境界確定後は、先述の通りに境界確定についての訴訟はできません(他の土地境界には影響は及びません)。

将来的に相続しそうな土地、売却しそうな土地がある場合は、とりあえず境界標があるか現地で確認するのもよいでしょう。

境界確定測量の流れ

ここでは境界確定測量の流れについて紹介します。

境界確定測量の流れ

  1. 不動産会社に紹介された土地家屋調査士に測量を依頼する
  2. 土地家屋調査士が、土地の資料を集める
  3. 土地家屋調査士が、仮測量を行う
  4. 当事者立ち合いで、境界確定を行う
  5. 土地家屋調査士が、確定測量を行う
  6. 境界確定書を作成する
  7. 土地家屋調査士が登記を申請する

境界確定の測量は、基本土地家屋調査士任せになります。依頼者が行うことは二つです。

一つ目は、隣接所有者との土地境界の話し合い時に立ち会うことです。

もう一つは、土地家屋調査士が境界確定の測量後に作成した境界確定書に、押印することです。

なお、確定測量の依頼から登記完了までの期間は、事案にもよりますが、おおむね3か月程度要します。

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