路線価は、相続税を計算する際の宅地の評価をするときに適用される基準です。路線価を使って土地の評価をする際には、接道の状況によって評価に加算する要因、土地の形状によって評価を減算する要因があります。相続により取得する土地や接道の状態がどの要因に当てはまるのか、確認しておくとよいでしょう。今回は、路線価による宅地の評価について解説します。
路線価による土地の評価方法とは
路線価は、国税庁が毎年7月に発表する公的な基準の価格で、道路に接している土地の1平方メートルあたりの価格のことをいいます。
路線価は、土地を相続財産として受け取った場合の、相続税の計算をする際の土地の評価をするために必要になります。
なお、路線価は、1つの道路につき1つです。評価をしたい土地が複数の道路に面している場合は、それに応じた計算をする必要が生じます。
国税庁の路線価図の見方
路線価は、国税庁のホームページで確認することができます。また、税務署、国税庁、国税事務所の端末でも調べることが可能です。
国税庁のホームページで確認する場合は、「路線価図・評価倍率表」にアクセスし、トップページから都道府県を選択し、「路線価図」を選択します。そして、自分が調べたい土地がある市区町村を選択します。次に、5ケタの路線価図ページ番号が出てきますので、その中から、自分が確認したい場所の路線価を確認します。
路線価は、複数のページ番号にまたがっていることが多いので、複数のページ番号を閲覧して、調べたい土地の路線価を確認するとよいでしょう。
そして、調べたい土地に接している道路のところに記載されている、数字とアルファベットがその土地の路線価です。数字は路線価を表しており、単位は千円単位になっています。
例えば、260F、と記載されている場合は、1平方メートルあたりの路線価が26万円ということになります。
路線価の右隣に記載されているアルファベットは、借地権割合です。アルファベットによって割合が段階的に定められています。該当の土地が自用地の場合は必要ではありませんが、自用地ではない場合(借地や貸家建付地などの場合)には、借主の権利の部分について減額して評価するために必要になる割合です。
「路線価図・評価倍率表」では、過去6年分の路線価図を確認することが可能です
路線価による土地評価に加算する要因(側方路線など)
路線価による土地の評価では、土地に接する道路の状況により土地評価に加算する要因があります。
その要因は、大きく分けて二種類あります。これらは、標準的な土地よりも利用価値や利便性が高いという理由から、土地の評価が高くなります。
側方路線影響加算
側方路線影響加算とは、交差点の角にある土地や、曲がり角にある土地に適用される加算です。2つある道路のうち、路線価が高いほうの道路を正面道路とし、もう1つの道路を側方道路とします。計算方法は、側方道路の路線価に側方道路影響加算率を乗じて得た価格を、正面道路の路線価に加算します。
二方路線影響加算
二方路線影響加算とは、土地の表と裏が2つの道路に挟まれている土地に適用される加算です。側方路線影響加算と同じように、2つの道路のうち路線価が高いほうの道路を正面道路とし、もう1つの道路を側方道路とします。
計算方法は、側方道路の路線価に二方路線影響加算率を乗じて得た価格を、正面道路の路線価に加算します。
路線価による土地評価に減算する要因(不整形地など)
土地の形状によっては、土地評価を減算する要因があります。これらは、標準的な土地よりも利用価値や利便性が低いという理由から、土地の評価が低くなります。
以下のような特殊な形状の土地には、路線価に1を下回る数値の補正率を乗じて減算して評価します。
間口狭小補正
間口狭小補正とは、道路に接している土地の部分の間口(幅)が狭い場合に適用される補正です。
奥行長大補正
奥行長大補正とは、土地の間口の割合に比べて奥行が長い土地に対して適用される補正です。
不整形地補正
不整形地補正とは、真四角な整形地に比べて、三角形や台形、いびつな形状をしている土地に対して適用される補正です。土地の形は真四角に近くても、土地に接している道路が斜めに接している、なども該当します。
がけ地補正
土地にがけがある場合に適用される補正です。がけがあると、その土地に建物を立てることがとても厳しいという理由により、土地の評価が減算されます。
路線価がない土地の評価方法
人が少ない地域の土地や、山林、田畑などは、路線価がない場合があります。そのような土地の場合は、倍率方式を使って土地の評価を行います。
倍率方式は、固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて計算します。
また、行き止まりになっている私道に接している土地の場合、その私道には路線価がない場合があるので、その私道に対して「特定路線価」を設定し、評価する場合があります。