相続財産で土地活用したい。そんな土地活用初心者の方向けに、土地の有効活用方法について解説します。まずは成功失敗事例を基に土地活用の基礎編を紹介します。そして、土地活用に対する考え方や、考え方の違いによる土地活用の方法ついて紹介します。土地活用を成功させるには、初期段階が一番重要な局面です。
相続後の土地活用の成功事例と失敗事例
相続でもらった土地がある。相続人となり遺産を承継し、暫く固定資産税を払い続けると、この財産を何かに活かしていきたいと土地活用を検討する場合もあります。
しかし、成功して収益を上げることができるのか、また失敗して負債を抱えてしまっては、と考えるとなかなか一歩踏み入れることも躊躇してしまいます。
ここでは、さまざまな土地活用を例に、成功事例の要因や失敗事例の要因を学んでいきます。
アパート・マンション経営の成功・失敗事例
土地活用といえばまず思い浮かぶのが、アパートやマンション経営です。アパート・マンション経営は初期投資額が多額であるため、失敗すると大きな負債が残る可能性があります。
アパート・マンション経営で成功するには、需要が見込める立地選定と、入居者の募集がポイントで、すなわち空室を作らないことが重要です。空室を作らないためには、周辺の賃貸需要の調査や不動産会社との良好なコミュニケーションが大事です。
特に、不動産会社の担当者とは常に連絡取り合い信頼関係を深めておきます。また、入居希望者からの交渉に応じるなど、柔軟な姿勢を示しておくことが入居者を絶やさない成功への道筋となります。
失敗事例については、節税目的や利回り重視で周辺調査等を疎かにし、闇雲に立地選定してしまった場合です。長期的な視野でみることができず、目的が節税やお金儲けのみとなると、本来のアパート・マンション投資の本質とずれた立地に投資してしまいます。
また、一番大事な入居者の募集が疎かになり、管理がいい加減になり、入居者がいなくなるという事態に陥るのです。また、利回りに関しては経費等を組み込んだ一番厳しい実質利回りで計算しないと見込み違いとなり失敗します。
駐車場経営の成功・失敗事例
駐車場経営も、土地活用で思い浮かぶ手段です。駐車場経営は、アパート・マンション経営に比べて、初期投資額が安く抑えられるので人気があります。駐車場経営でのポイントは、固定資産税です。駐車場の場合、固定資産税が1/6になる住宅用地の特例なく課税額が増えます。したがって、年間で課税される固定資産税などの固定費総額を差し引いても利益が残るかが、成功と失敗の分岐点です。
トランクルーム経営の成功・失敗事例
トランクルームは最近よく街中で見るようになりましたが、こちらも土地活用の手段として人気です。トランクルーム経営のポイントは、近隣住民の理解を得ることです。
土地活用として人気があるとはいえ、一般的にはまだ馴染みが薄いこともあります。そのため、トランクルーム自体の耐震性や安全性などが確保されていることが大事で、近隣住民にトランクルームに対する不信感を植え付けないことが重要です。
したがって、土地はアスファルト舗装とし、敷地内に防犯カメラ、耐震性の高い建物を作ることが、成功と失敗の分岐点です。
なお、トランクルームはニーズの調査が難しいため、経営をサポートするパートナー会社選びも大事です。
相続後の土地活用の基本的な考え方
ここからは、土地活用の基本的な考え方について解説していきます。土地活用で、アパート・マンション若しくは駐車場を選択した場合に、なぜそれを選択したのかという根拠が必要です。
また、長期的にどんなプランを立てているのか、初期費用・維持費用等はどのくらい掛かる見込みで、収益が見込めるのかなど、先を見据えることが重要です。
周辺の需要をしっかりと調査する
土地活用は、アパート・マンション、駐車場だけではありません。テナントビル・ロードサイド型の店舗など土地活用ができる手段は沢山あります。これらは基本的に家主となるだけなので、経営ノウハウは必要ありません。
需要がある場所に、需要の目的となるものを作ればおのずと利用者がみつかります。つまり、需要の見極めが一番大事になります。
また、アパート・マンション経営でも、需要がある間取りを作ることが重要です。例えば周辺に大学が多く学生の借り手が多い地域では、ワンルームタイプが求められます。周辺に評判の良い小中学校がある地域であれば、ファミリー世帯が多いので広い3LDKタイプが求められるのです。
土地活用に関する知識を身につける
土地活用に関する知識を身につけることも重要です。まずは、建築費の安さだけを重視してしまい、建物の外装や内装が、粗雑なものになってしまうことがあります。賃料に見合わない設備の悪さ、住み心地が良くなければ、空室を埋めることに苦労し、経営がうまくいかない場合があります。
また、容積率の消化を優先し、狭小地に無理に高層住宅を建築してしまうこともあります。容積率を使い切ることは、投資物件ではセオリーですが、土地の広さや形状によっては建物を低く抑えて、建築費を抑えた方が良い場合もあるので、さまざまな観点から検討することが必要です。
ローンを組む場合は、100%に近いローンは避ける
土地活用の資金として、金融機関から借り入れを行う場合、100%ローンに近いものは避けます。理由は、家賃収入でローン返済していきますが、空室が出た場合に想定の家賃収入が得られず、支払いが滞る可能性が出てくるからです。
借入金が少ないほど、返済金額は少なくなるので、万が一の空室時に耐える力が強くなります。したがって、できるだけ自己資金を多く投入することをお勧めします。
無理に土地活用しようとせずに、売却という選択肢も考える
最後に、さまざまな需要を調査した結果、需要が見いだせるような立地でなければ無理に土地活用しようとせず、土地ごと貸したり、土地売却を選択肢として考えたりするのも得策です。この場合に課税される税金について、税理士に予め確認してもよいでしょう。
土地活用は、活用する土地周辺にどんな需要があるのか、また土地活用の本質についてしっかりとした知識がないと、思いもよらず失敗に遭遇してしまいます。
土地活用は、とりあえず作っておけば自然と経営が成り立つものではなく、土地活用の種類ごとに都度、成功に導くための経営判断が求められ、その判断は経営開始前の検討段階がほとんどです。
また、土地活用は短期で儲けが出るほど甘いものではなく、長期的なスパンで利益を追求していきます。収支が黒字や赤字になったとしても一喜一憂せずに、長期的な視野でみることがポイントです。
さらに、土地活用する為に重要な利用者の募集に執着することや、日常的に管理をする意識、管理会社などの意見は取り入れ一人で判断しないなども、土地活用が軌道に乗りやすいポイントになります。
相続後の土地活用はどのように進めるか
ここからは、具体的な土地活用の方法についてご紹介します。
初期投資額を抑えることを重視する場合
初期投資額を抑えることができる土地活用は、月極駐車場やコインパーキングがお勧めです。特に、コインパーキングは一括借り上げ式が多いので、初期投資額はほぼ0円で始められます。他にもトランクルーム等がありますが、住宅用地の特例からは外れてしまうため、固定資産税が課税される総額は増えるので注意です。
経営の安定性を重視する場合
安定性を重視する場合は、短期的な高収益は期待できません。例えば、ロードサイド型の店舗は、一般的に20年以上の契約を結ぶため、安定性があります。また事業用借地権方式を用いて、土地をまるごとコンビニエンスストア業者に土地を貸すと地代が入ります。収益性は少ないのですが、安定性はあります。
収益性を重視する場合
収益性を重視する場合、初期投資額も多額になるのでリスクも大きくなりますが、その分リターンが期待できます。例えば、ビジネスホテルは建設に数十億円掛かりますが、好立地で高稼働率が維持できれば収益性は高くなります。また、アパート・マンション経営も同様に好立地で高稼働率が維持できれば長期に渡り高収益が期待できる土地活用です。